DITA儲かりまっか?個人的妄想(その2)

以下はあくまでも私の妄想です.実在の組織、人物には関係ありません.
という訳で、そんな妄想ならとお感じになられた方は読み飛ばしてください.

「DITA儲かりまっか?」といってもこれはDITAを生業としているベンダーのお話ではありません.いわば私たちから見ればお客様、DITAを導入する立場の組織・企業です.
寡聞にして「うちはDITA入れてこんなに儲かりました」という話は聞いてこないように思えます.いぇ?そんなことはない?毎年のDITAフェスタでも成功事例は発表されています.確かにそのとおりです.「DITAを入れて翻訳コストがこんなに削減できました」「制作費用はこんなに抑えられました」という話は出ています.

でも私が考えるにこれはあくまでも「コストカット」であり、「儲かる」とは違うと思うのです.儲かるとは、お客様に大いに物を売って利益を出し、お客様も物を買って満足する.そういう関係のなかで表現されるものではないでしょうか?

この反面コストカットはどうなるのでしょう?大幅なコストカットを行って、経費を削減し、ではそれで利益還元大感謝祭を行うでしょうか??たぶん(たぶん)そんなことはないですよね?コストカットされた分は支出されなくてよかったお金として、内部留保になってしまうのではないでしょうか?

つまりいくらDITAを導入しても組織・企業はコストカットが出来るだけで、儲からないのではないでしょうか?

実は私はそんなことはないと思っています.直接的ではないですがDITAを導入して、その組織・企業のお客様とWin-Winの関係を築き、「儲け」につなげることは十分可能性があるのではないかと思います.

でもそこには条件があります.それはよくあるパターンの技術文書(特にマニュアル類)の制作をレガシーなFrameMaker(非構造化)やInDesign、または古いDocBookからDITAに替え、そして自動組版を採用してPDFを作るというある意味お決まりの姿でやっている限り、決してその範疇を出る、すなわち「儲かる」方向には行かないのではないかと思います.

大切なのは、お客さんとの間のWin-Winの関係を築けるような、組織・企業のコンテンツ戦略にDITAを位置付けられなければ、それは技術文書制作の「局所的最適化」に終わってしまうのではないかということです.

DITAを導入のお客様は多くが技術文書の担当をされている方で、そんな組織・企業のコンテンツ戦略なんて言われても?と感じる方も多いかもしれません.そのとおりで、このような視点は組織・企業の高い立場におられる方が理解していただく必要があることです.

私はDITAに携わって考えてみれば結構な年月お付き合いをさせていただきましたが、この点は非常に心に残る点です.DITAで儲かるとはどんなことなのか?もう少し妄想を書いてみたいと思います.次の指摘がカギとなるでしょう.

DITA 101 p.57 より

「DITAは単なる構造化ライティングでも単なる再利用でもありません.方法論を転換して、再利用に、オーサリングの分担や協力に、そして文書よりもコンテンツのライブラリーに重点を移すことになります.このことはどのように作業するかを定義するための統一コンテンツ戦略を必要とします.(中略)統一コンテンツ戦略がなければ、DITAはコンテンツ作成の単なる1つの方法であり、コンテンツへの付加価値はありません.」