DITA儲かりまっか?個人的妄想(その3)

以下はあくまでも私の妄想です.実在の組織、人物には関係ありません.
という訳で、そんな妄想ならとお感じになられた方は読み飛ばしてください.

DITAが開く可能性というのは"Intelligent Content"(知的コンテンツ)を作れるということになるのではと思います.知的コンテンツとは何でしょう?
DITA 101の著者のAnn Rokleyさんが著した「Intelligent Content A Primer」には次のように簡潔に定義されています.

"Intelligent content is designed to be modular, structured, reusable, formatte free, and semantically rich, as a conseqence, discoverable, reconfigurable, adaptable."

(拙訳)
「インテリジェントなコンテンツは、モジュール化され、構造化され、再利用可能で、フォーマットの制約がなく、意味的に豊富に設計されたコンテンツです.この結果として、見つけやすく、再構成が可能で、適応性があります.」

DITAのトピックを作るというのは本質的にはこの知的コンテンツを作る作業なのだと思います.

モジュール化とはまさしくトピックベースのオーサリングであり、構造化ははDITAのスキーマに基づいたXMLとして表現されます.キーを使って抽象化し、またトピック間のハードリンクを作らなければ再利用性を格段に高めることができるでしょう.そしてこのように作成されたトピックは出力フォーマットの制約がなく、どのようなチャネルにも使用できるようになります.そしてDITAのトピックはprologメタデータを記述でき、そのトピックが何なのか、データに関するデータを記述できます.

そして結果で述べられている通り、(メタデータにより)検索性に優れ、マップで自由にトピックを構成でき、再利用可能なため様々な用途に適合可能になります.

このような知的コンテンツの蓄積と活用は、組織・会社とそのユーザーとの関係を極めて良好なものとする土台になるでしょう.顧客が望むコンテンツを様々なタイミング、チャネルで、一貫した内容でタイミングよく提供することが可能になります.結果としての顧客の寄せる信頼は他に代えがたいものです.

それにしても知的コンテンツを作ることは極めて地道な努力の必要な作業ですが、これが蓄積して活用されれば長期的には会社が「儲ける」ことに大きく貢献することにはまちがいないでしょう.

問題はこのような知的コンテンツを顧客とのコミュニケーションの土台とする考え方は、すこし高い視野に立ってコンテンツ戦略を俯瞰できる立場の方でないと採用を考えることはむつかしいであろうということです.またどのくらい儲けることができるのかという数値的評価が難しいことも問題です.ここは考え方そのものを転換する必要があるのでしょう.

残念ながらDITAの採用はこのようなコンテンツ戦略という観点から見直した結果という例は少なかったのではないでしょうか?多くはコストの削減が第一目標なのです.

コストの削減を否定するつもりはありませんが、

1. コストの削減はその時は評価されるが、以降はそれであたりまえのものとして取り扱われる.下手をするともっと減らせないかと迫られる.
2. しかしコストの削減には自ずから限界がある.しかし顧客に買っていただくということは(顧客に有効需要があるかぎりにおいて)限界はない.

ことは明らに思えます.

とかく企業活動も私たちの仕事も、最近は地道な努力より、とかくスピード感が強調され、パッと出る成果の方がはるかに称賛されがちです.このような時だからこそ確かな羅針盤に基づいたコツコツした努力が実は大切ではないでしょうか?