DITAを学ぶ

今さらと言われるかもしれませんが、会社でDITAの輪読会をずっとやっています.テキストはJoAnn Hackos博士の「DITA概説書」,DITAコンソーシアムによる訳で2010年の発刊です.原書が「Introduction to DITA - A User Guide to the Darwin Information Typing Architecture」で2009年です.

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JoAnn Hackos博士は、わたしの関係では今まで2回ほど日本に来ていただき、直接講義をうけさせていただく機会がありました.

巻頭の「私たちの手による、DITAについての草分けであるこの作品が、今「DITA(Darwin Information Typing Architechure)概説書」となって日本の友人たちや共に働く人々の手に届くことはとても誇らしい.DITAは、XMLのトピックに基づくオーサリングについてのOASIS標準であり、必ずやこの地でも暖かく迎えられるとともに、ビジネスにおいて大きな恩恵をもたらすであろう.日本の企業やそのライターたちにとって、あるいはお客様に最も良質の情報を提供し自らのオーサリングのプロセスを効率化しようと努めるすべての方々にとって、DITA標準は、ビジネスを怒んなう上で貴重な手段や作法となるはずである.」という言葉は、博士の暖かい日本への愛情と期待を示してくれています.

そして第1部の「Darwin Information Typing Architecture」に書かれている解説は短いながらもDITAの本質をコンパクトにまとめています.また第2部の「DITAトピック」に書かれている解説は、DITA導入のステップのエッセンスの本質を書かれています.何度読み返しても良い箇所だと思います.

そして、最初からだんだん読み解いてゆくと、いままで知らなかったDITA1.1の(もちろん今にも引き継がれていますが)のいろんな考え方を知ることができて良いと思います.例えば私たちが読んでいて、「ああ~!知らなかったな」というのがいくつかあるんですが、topicrefにつけるcollection-typeなんかはその典型です.この属性は、unordered, sequence, choice, familyなどの値を取るのですが、これによってMicrosoftのHTMLヘルプのrelated-linksに出る表示が変わります.と言っても私たちが実際にrelated-linksに主に出すのは関連性テーブル(reltable)の内容がほとんどなので、あまり利用されることはないのかもしれません.また、この本のベースになったDITA Open Toolkitは(今は昔の)DITA-OT 1.4.3なので、出力方法も今はどうも変わってしまっているようです.

ところが、最近の輪読会で気が付いたのですが、やはりDITA 1.1ベースの書籍なので、コンテンツ再利用についてはconrefが主であり、該当箇所のページ数は14ページくらいしかありません.DITA 1.2ではキーの概念が取りれられ、再利用を行う属性もconrefだけでなく.keyref, conkeyrefと増えています.でこれではやはり物足りないと思って、DITA 1.2に対応した原書の「Introduction to DITA Second Edition」を読んでみると、対応する部は(英文ですが)68ページにもなっていました.という訳で輪読会は再利用のところは原書の方を使うようにし、英語を読みながら四苦八苦してやっています.それでもDITA 1.2の仕様書のkeyの解説はやたら難しいので、それを解きほぐしてある解説はやはりありがたいです.

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JoAnn Hackos博士は昨年引退されてしまったので、もうDITA 1.3の「Introduction to DITA」はもう出ないんでしょうね.ちょっと寂しい感じがします.