JoAnn Hackos博士のWebinar (1)

年明けは出勤日からインフルエンザにかかってしまい最悪でした.高熱でほとんど寝たきり状態が続きやっと治った次第です.さてそうこうしてやっと出勤できるようになると、Comtech ServicesのJoAnn Hackos博士のWebinarがあるというメールをいただきました."The Challenges of DITA Adoption"と題したもので、日本ではなかなか聞く機会もないと考えオンラインで申し込みました.でもWebinarは米国時間なので日本では(ちょうど出張の日の)午前3時から4時半という時間帯です.前の晩は会社をさっさと引き上げて目覚ましをかけて9時には寝てしまいました.当日はまだ寒くてガタガタ震えながら居間でノートパソコンを開いて講演を聞きました.

プレゼンテーションのおよその内容は昨年のDITA Europe 2014の基調講演で博士がおこなったものと同じでした.CIDM(Center for Information-Development Management: http://www.infomanagementcenter.com/)が2014年に行ったDITAと生産性に関するsurveyの結果を元に、どのような企業が生産性を向上させ、またどのような企業がそうなっていないか?DITAで成功するカギは何なのか?というものです.

それによると、surveyの回答数は87で、そのうち51%が生産性が向上した、38%が生産性が落ちた、14%が変わらないと答えたそうです.この指標となるものは、再利用率、生産時間、ライティングに要する時間、翻訳コスト、生産コスト、(DITAに)変換されたコンテンツの割合、顧客満足度などとされています.

そして成功していると考えられる企業は、DITA導入前に比べて、計画に要する時間は増大、オーサリング・編集・レビューに要する時間は減少、ドキュメントの生産にかかる時間は減少、ローカライズにかかるコストは減少、ただし(DITAに必要な)ツールにかかる管理コストは増大と答えているそうです.ところがやはり逆はあるもので、これらの項目すべてに逆になったと答えている企業もあるとのことです.曰く、DITA導入前に比べて、計画に要する時間は減少、オーサリング・編集・レビューに要する時間は増加、ドキュメントの生産にかかる時間は増加、ローカライズにかかるコストは増加、ツールにかかる管理コストは減少というものです.

これを聞いていて思ったのですが、もちろんDITAで成功できた企業は前者でしょう.そしてDITAというものは必ずしも「成功の保障を約束してくれるものではない」という冷厳な事実です.同じDITA Europe 2014の基調講演で、IXIASOFTのKeith Schengili RobertsさんはDITAの導入率が北米では70%と高く、日本を含むアジアでは6%と報告していました.パーセンテージの分母が何かは聞き逃しましたが、比較の指標にはなるでしょう.北米で高い導入率を持っているDITAですが、必ずしも全ての企業がDITAを成功しているとは限らないということです.

JoAnn Hackos博士はそういう前提の元、成功するカギは何か?という主題で様々な項目を挙げています.普段こういう主題の世界にはなかなか接することができないのですが、次に私なりの翻訳を考えてみたいと思います.