DITA-OT Day


去る11月18日~19日にドイツのミュンヘンのHoliday-Inn Munich Centreで開催された、DITA Europe 2014に続いて、11月20日に同じ会場でoXygenのSyncroSoftの主催による初めてのDITA-OT Dayが開催されました.私もDITA Europe 2014の展示に参加させてもらったので、続いてDITA-OT Dayに参加してきました.参加者は80名くらいであったと思います.なかなか和やかな雰囲気で、かつ質問も飛び交ってにぎやかでした.

DITA-OT Dayのプログラムは以下のようなものでした.

最初にOASIS DITA Technical Committeeの議長(Chair)を務めるKristen James EberleinさんからDITA-OTの簡単な歴史の説明がありました.そしてDITA-OTがどのような方たちによって担われているかの紹介がありました.

DITAをお使いの方でもDITA-OTがオープンソースであることは知っていても、OASIS DITA Technical Committeeとは独立した存在で、開発者はみなさんボランティアであるのは意外とご存じでない方もいらっしゃるようです.特にメインの開発者のJarno Elovirtaさんの貢献には頭が下がります.

Who We Are

今回のDITA-OT Dayでは開発者のみなさんが一堂に会しました.

次のLooking under the hood of the DITA Open Toolkitというセッションでは、Jarno ElovirtaさんがDITA-OTのpreprocessと呼ばれる部分を詳しく解説してくれました.ちょっと暗かったのでうまく映っていませんが、以下がそのプレゼンの様子です.

[Jarnoさんのプレゼンの様子]

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preprocessはDITA-OTの様々なプラグイン特有の処理を行う前に行われる共通の処理のことです.preprocess抜きにはたぶん誰一人DITAオンスタンスをそのままでは処理できないでしょう.例えばDITAをオーサリングされる方は、conref, keyref, conkeyrefなどを使われていると思いますが、これらの参照を解決するのもpreprocessの役割です.またDITAのインスタンスは必ずDTDXML Schemaを指定しているはずです.これらのスキーマに基づいて検証をしながら、classなど重要な属性をつけたり、tableのカラム番号を自動的に付与したりしてくれるのもpreprocessです.その他にもpreprocessがやっていることは山ほどあります.

その次のRNG to DTD and XSD using the DITA Open ToolkitというセッションではEliot Kimberさんが(たぶんスコットランドの民族衣装の)スカート姿で登場しました.以前触れましたが、来たるDITA 1.3ではRELAX NGがメインのスキーマ言語になります.KimberさんはRELAX NGが如何にDITAのコンテンツ記述にマッチしていて、それからDTDXML Schemaも自動的に生成できるという点を力説しておられました.すでに以下のSubversionリポジトリにはRELAX NGからDTDXML Schemaへのコンバーターが用意されているとのことです.


更にKimberさんはすでにRELAX NGによる特殊化のサンプルも作っておられました.

次のExtending the DITA Open Toolkit: How crazy can you get?というセッションでは、IBMのRobert AndersonさんがDITA-OTのextension pointについて説明してくれました.

後半の3セッションは主にPDF出力に関するものでした.

IXIASOFTのLeigh Whiteさんは、DITA for Printingという本の著者です.PDF2プラグインを如何にカスタマイズするかを解説してくれました.次のDITA Open Toolkit PDF plugins without fuss, muss, or writing XSL-FOというセッションでは、Jarno Elovirtaさんが作ったWEBサイトで簡単にPDF2をパラメータを順に指定してゆく方法でカスタマイズする方法を紹介してくれました.

このサイトは次のURLにあります.


またoXygenと言えば必ず登場するRadu Coravuさんが、DITA Open Toolkit PDF generation with CSSと題してDITAをCSS+Princeで組版してPDFを作る試みを紹介してくれました.

私もPDFのプラグインを作っていますので感じたのですが、現在のDITA-OTの標準となっているPDF2プラグインはあまりに基本的な設計が悪く皆さんカスタマイズに苦労しているということです.このプラグインは確か2005年頃から提供されていて、その後ますます改造されて複雑になり、とても初心者が理解して直せるような代物ではありません.という訳でなんとか簡単にできるようにとRaduさんがCSSでやってみようとしたのも無理はないです.

PDFは引き続きDITAの有力な出力メディアとしてあり続けるでしょう.そういう意味でプロダクションレベルのPDFコンテンツを如何に効率よく作り出せるようなプラグインが必要であるかを痛感しました.

あとセッションの間をぬってLightning talkと呼ばれる10分間の短いセッションがありました.これらもなかなか面白い内容でした.

さてoXygenのGeorge Binaさんにお伺いしたところ、今後プレゼンテーションの内容が数日中に次のoXygenのサイトで公開されるとのことです.DITA-OT DayはWEBでも公開されたようですが、見れなかった人も含め是非今後の参考になるのではないでしょうか?私も公開を楽しみにしています.


[DITA-OT DayのWEBサイトと参加証、DITAと名前の付いたお菓子が受付で配られていました]

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