Best way to go from DITA to attractive PDF?

少し前のDITA Usersに次のような表題の投稿がありました.

best way to go from DITA to attractive PDF?

いわく「DITAから魅力的なPDFを作る最も良い方法は?」というものです.

さまざまな方がIn DesignやFrame Maker、既存のDITA-OTのPDF2プラグインのカスタマイズなど、いろいろなsuggestionをしておられます.最終的にはこの投稿をした方は少なくともFrame Makerを使用しない(?既存のPDF2のカスタマイズ)の方法を選ぶということで締めくくっています.

しかし私の目を引いたのは「非常に偏見的な回答」と先頭に但し書きされた以下の返事です.

That's not to say you can't do some amazing stuff with FO, but you'll likely need to hire a skilled FO developer (which will cost you way more than a FM license). Sure .. you (assuming a reasonable level of competency with XSL) can dig in and make some tweaks to get the FO-based output to look better, and if that gives you the level of attractiveness you're looking for, perfect. 

XSL-FOというのはPDFを作り出す有効な手段ではあるけれど、DITA⇒XSL-FOを作り出せる熟練した開発者が必要だということです.そしてそれはFrame Makerのライセンス料よりはるかに高くつくということです.

DITA⇒XSL-FO⇒PDFという仕事をこなすには、DITAを熟知しており、XSLT 2.0のスタイルシートが書け、XSL-FOもちゃんと知っているという三点セットが必須です.しかしこれだけの技術を持つというのは結構大変なことです.

聞けば米国の出版社O'ReilleyがXSL-FO組版からCSS組版に移行したのもXSL-FOの技術者をなくしてしまったのが理由だそうです.やはり敷居は高いのですね.

また先週会社の行事に社長が来て話していたのですが、XSLTという技術というのは世の中では一般的に嫌われているそうです.DITAからXSL-FOを効果的に作り出すためには、XSLT、特にXSLT2.0は絶対必要です.でもなかなか嫌われているだけに、熟達した人というのを確保したり育てるのは楽ではありません.

ですから、やはりInDesignとかFrame Makerというのは決して手放すこととのできないPDFを作る手段となるのでしょう.

また最近感じるのですが、企業が出版物(特に製品マニュアルなど)の製造工程を合理化するためにDITAに移行してゆくという話は聞きます.このような場面では企業はDITAを自身の文書モデルに合うように特殊化したり、DITA⇒XSL-FOのスタイルシートへの投資をします.けれどもっと身近な世界でDITAをXSL-FOでPDFにするという話はあまり聞きません.

ごく身近な世界とは、例えば仕様書や提案書をDITAで書いてPDFにするということです.やはりこのような世界ではよほどのマニアでない限り、自分の目的のためにDITAを特殊化したり、カスタマイズしたスタイルシートを作り出すということには「手間やお金がかけられない」からではないかと思います.

またXSL-FOでPDFを作った場合、「少し直す」ということは非常に困難を伴います.まさかXSL-FOをパッチ修正することはとてもできないからです.しかしFrame Makerなんかだったら、その場で修正してしまうこともたぶんお手のものでしょう.

でも私はこの1年でDITA⇒XSL-FOでアラビア語を経験させてもらえて、XSL-FOの「筋の良さ」というのを身をもって体験させてもらえました.XSL-FOはたった一つのスタイルシートで、左から右へ書く英語も、右から左へ書くアラビア語もスタイルをちょっと変えれば処理できてしまいます.非常に優秀だと思います.

でもXSL-FOをもっと身近にしてゆく上ではもっともっと工夫が必要ではないか?と思います.たぶんですが

1.もっとXSLTスタイルシートの技術がなくとも出力スタイルをカスタマイズできるようにすること.
2.部分的なスタイルの変更をDITAの特殊化やスタイルシート自体の修正なしにできるようにすること.

ということではないかと思います.

いままでお客様のご要望に答えてDITA⇒PDFのスタイルシートは作ってきましたが、1.2.は必ずしも実現できていませんでした.もう少し自分自身でDITAを使ってオーサリングして、これらを実現できるようにしてゆきたいと思います.手始めですが、今製品の仕様書をDITAで書けるようにDITAを特殊化し、それに対応して自分の作ったプラグインを使いやすくする作業にとりかかっています.まだまだ始めたばかりですが、出来たら是非公開したいと思います.