Redmineの孤独

お客様とプロジェクトを進める上でExcelは手軽で必須のもののようです.
 
昨年やった開発のプロジェクトでは、基本的にすべての仕様に関する質問と回答はExcelワークシートに記入してメールに添付してやりとりというのものでした.最初のファイルサイズが小さいうちは良いのですが、だんだん画像などを貼り付けてサイズが大きくなってくるとメールでおくるのははばかられるようになります.また矢継ぎ早に質問と回答をやり取りすると、Excelワークシートに質問者と回答者が記入をして互いに相手に送り合うことになり、どれが最新版かわからなくなってしまうこともしばしばでした.結局誰かがワークシートをマージすることになります.
 
また障害管理もExcelワークシートでした、これもExcelのセルだと、とかく書ける情報が限られてしまいます.記入者は自分の手元の環境で起こっている障害状況を書くのですが、開発者の側では下手をするとそもそも何が障害現象なのかを理解することが困難な場合もあります.それも金曜日に障害がまとめて送られてきて、月曜日に改訂版を出さねばならないような場合、なんとか修正しなければならないので、徹夜で調査するということもざらでした.
 
もともと私はExcelが大嫌いで普段使うのはWordです.私はデータベースから入った口なので表形式で管理するのはAccessです.Excelワープロ代わりに使っているなんていう人も居ますが、それはちがうんじゃないか?と思っていました.ですからExcelを使うのはせいぜい年一回の確定申告のときくらいだけです.これだけはExcelは便利だと思っています.またExcelはセル単位にスクロールしますが、最近のExcel 2010~2013はリボンインタフェースになったため画面の上部の多くをリボンが占めてしまうになりました.わたしのノートPCでは、大きなセル自体が見るのが困難ということもありました.
 
今年続きのプロジェクトに従事させてもらいましたが、そこで初めてRedmineをつかわさせていただくことになりました.お客様の方でやはりExcelによるQ&A/障害報告管理ではもう無理と判断されたようです.
 
RedmineはWebベースのプロジェクト管理ソフトウェアです.
(このページ自体がRedmineの画面です.)
 
私もRedmineはまったく初めてだったのですが、お客様がサーバーを準備し、IDとパスワードを連絡してもらいました.一番最初にやったのは、開発者の私が仕様書の全項目をRedmineにチケットとして登録することでした.これが結構大変な作業です.ゆうに50以上の機能項目を順番に一個ずつ登録してゆかねばなりません.しかしすべてはここから始まります.
 
これを登録し終わって、開発が進み出すとRedmineは急ににぎやかになります.実装段階では仕様のQ&Aがやりとりされ、プログラムをリリースをすると障害報告のチケットが飛び交うようになります.
 
Redmineの良いところは、
 
1.仕様のQ&Aは履歴が一画面で見れるので、経過と結果をすぐ見ることができる.⇒メールやExcelワークシートでは大変です.
2.障害毎にチケットで状況が報告され、検証データや画面スナップも画像でつけられる.⇒開発側で何が障害か理解し、再現させる作業が非常に簡単です.
3.修正も結果をPDFや画像で貼り付けて返答できるので、障害報告者もすぐに修正を確認できます.⇒もちろん最終的な修正確認はプログラムがリリースされてからですが.
4.仕様の機能項目、障害の修正進捗が簡単に把握できます.
 
などだと思います.従来は2~3日かかっていた障害報告⇒修正のサイクルが、下手をすると一件で報告されてから30分で修正確認/連絡ができるようになりました.障害のチケットがあがるとRedmineのサーバーからメールが来るので、それを見て再現試験をやってプログラムを修正し、結果をチケットに回答を書いて送信するだけだからです.
 
開発する側からしてみると、Redmineから障害報告のメールが来たときはドキッとしますが、修正が完了してそのチケットの進捗度が100%になれば気分は晴れ晴れします.
 
そんな訳でRedmine進捗管理に非常に有用と確信しました.2013年の4月からは上司に提案して会社でもRedmineのサーバーを立ててもらうことができました.次の別のお客様のプロジェクトでも、こちらからRedmineの活用を提案させていただき、使用していただけるようになっています.しかし、繰り返しますが、Redmineは最初はともかく「孤独」な世界です.お客様には「Redmineを用意いたしました」では決して使っていただくことはできません.一番最初は、空っぽのRedmineに仕様書の機能項目、または実装項目リストをチケットにして全部登録するところから始まります.これはプロジェクトを開始するときの象徴的な準備作業であると思います.
 
Redmineを使うようになるとメールベースのやりとりがほぼ不要になります.またメーラのメールボックスを「あの仕様は結局どうなっていたんだっけ?」と探しまわる必要もなくなります.Redmineなら、そのチケットのページをみればすべて経緯と結果が記録されているからです.
 
進捗管理(というか障害管理)で同じようなものにMantisがありますが、こちらは画像ファイルを添付できるだけで、その表示は出来なかったと思います.RedmineはMantisと同じにワークフローもできるし、ともかく画像を添付して!と!でそのファイル名を囲めば表示されるので格段の違いがあります.
 
またRedmineWiki文法が使えるので、様々な文字修飾ができます.リスト、表もかけます.Excelで書くレベルの表だったらRedmineでも出来ちゃいます.そしてブラウザの表のフォーマッティングは相当賢いので、Excelでスクロールに苦労するような表でも一望できてしまうところが良いです.
 
昔はこのような類のソフトウェアはLotus Notesくらいしかなかったように思います.今は無料でこのような優秀なソフトウェアが使えるようになりました.よい時代になったものだと思います.
 
以下はRedmineのチケットのサンプルです.表をきれいに書くことができているのをご覧いただくことができます.

 
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