1★9★3★7

1937、イクミナ、征くみな

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最新の辺見庸さんの作品です.ただいま前半まで挑戦中.もう何年も前「もの食う人々」を読んだあとずっとご無沙汰でした.確かに問題作だと思います.帯封にもありますが、以下は序言のなかの何故この本を書いたかという一節です.

ではなんのために本書を著したのか.それはこうだ.わたしじしんを「1★9★3★7」という状況(ないしはそれと相似的な風景)に立たせ、おまえらならどのようにふるまった(ふるまうことができた)のか、おまえなら果たして殺さなかったのか、一九三七年の中国で「皇軍」兵士であるおまえは、軍刀をギラリとぬいて人を斬り殺してみたくなるいっしゅんの衝動を、われにかえって狂気として対象化し、自己を抑止できただろうか-と問いつめるためであった.おまえは上官の命令にひとりそむくことができたか、多数者が(まるで旅行中のレクリェーションのように、お気楽に)やっていた婦女子の強姦やあちらこちらでの略奪を、おい、おまえ、じぶんならぜったいににやらなかったと言いきれるか、そうしている同輩を集団のなかでやめさせることができたか-と責問するためであった.

大変「重い」本です.