あたらしい憲法の話

8月14日の安倍首相の戦後70年談話をじっとテレビで聞いていて「なんと白々しい官僚の作文か!」と本当に心の底から怒りが湧いてきました.次の15日、家族と平和のための信州・戦争展に出かけました.そこで大変懐かしい本に出合いました.それは受付の横で販売されていた「あたらしい憲法の話(日本平和委員会発行)」です.もう何十年前(!)の学生の頃、私はこの本を買って読んだのです.戦後70年の今年、再び出会うことができました.学生の頃に見たものに比べて少し紙の質が薄くなっていましたけれど、内容は同じです.バックカバーを見たらもう第45版なのだそうです.

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この「あたらしい憲法の話」は、戦後の1947年に文部省から発行された中学校1年生の社会科の教科書です.もうパブリックドメインになって青空文庫WikiSourceで見ることができますが.でも平和への祈りを込めて自分で書き記すことにしました.「六 戦争放棄」の章です.戦争法大好きの安倍首相に是非読んでいただきたい名文だと思います.

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みなさんの中には、今度の戦争に、おとうさんや兄さんを送り出された人も多いでしょう.ごぶじでおかえりになったでしょうか.それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか.また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう.いまやっと戦争は終わりました.二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか?こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか.何もありません.ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか.戦争は人間をほろぼすことです.世の中のよいものをこわすことです.だから、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があると言わねばなりません.この前の世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々でいろいろ考えましたが、またこんな大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか.
そこでこんどの憲法では、日本の国が、決して二度と戦争をしないように、二つのことを決めました.その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです.これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです.これを戦力の放棄といいます.「放棄」とは「すててしまう」といういことです.しかしみなさんはけっして心ぼそく思うことはありません.日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです.世の中に、正しいことぐらい強いものはありません.
もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです.おだやかにそだんをして、きまりをつけようというのです.なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです.また戦争とまでゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです.これを戦争の放棄というのです.そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです.
みなさん、あのおそろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう.