自然の弁証法

未来に対する唯物論的確信.これはエンゲルスの「自然の弁証法 序論」の最終部分です.書かれたのは1875年とされています.日本ではまだ明治の始まり、自由民権運動が始まり、また西南戦争が起こる前になります.宇宙規模の未来への透徹したエンゲルスの考察には感動を覚えます.

或る永遠の循環過程のなかで物質は運動しているのである.この循環過程が時間・空間のなかでどんなにしばしばどんなに無慈悲に起こるにせよ、幾百万の太陽と地球が生まれまた滅びるにせよ、或る太陽系のたった一つの惑星上だけでも有機的生命の諸条件が作り出されるまでにどれほど長くかかるにせよ、諸生物の仲間から思考力のある脳髄を持った動物が進化してきて、短期間だけ生存できる諸条件を見いだし、やがてまた容赦なく絶滅させられてゆく、そのときまでに、どれほど数多くの生物がこれに先立って出現しまた滅亡しなければならないにせよ、ーーわれわれは確信する、物質はどんなに変転しても永遠に物質でありつづけ、その属性はどれ一つ失われえず、それだから物質は、地球上で自分の最高の精華である思考する精神を再び絶滅してしまうであろうその同じ鉄の必然性をもって、この思考する精神を別の場所で別の時に再び生み出すに違いない、と.

新日本出版社 自然の弁証法《抄》p.30

自然の弁証法 《抄》

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